効果的なダッシュボードを作成するための 10 のベストプラクティス

綿密に設計されたダッシュボードは、データドリブンな会話の強力な開始点となります。同じ情報量でも、すべての情報源を 1 つにまとめて管理すれば、より速やかにビジネスの意思決定を下すことができます。

このホワイトペーパーでは、使用事例の3つのセクションを通して、オーディエンスにとって最も効果的なダッシュボードを作成するためのベストプラクティスについて説明します。

慎重に計画を行うと、ダッシュボードユーザーのニーズや、最適な表示サイズをよく理解できるうえ、適切な設計を施してデータの読み込み速度を高めることができます。
情報に基づいたデザインにより、人の視線を集めやすい位置 (スイートスポット) を意識し、ビューや色の数にも気を付けながらインタラクティブ性の高いダッシュボードを作れば、ユーザーもデータ探索がスムーズに行えます。書式も適切に設定しましょう。
ダッシュボードの改善では、特にツールヒントを丁寧にチェックし、必要に応じて修正する必要があります。また、伝えたいことのストーリーを強調して、不要なものは取り除きましょう。

綿密に設計されたダッシュボードは、データドリブンな会話の強力な開始点となります。同じ情報量でも、すべての情報源を 1 つにまとめて管理すれば、より速やかにビジネスの意思決定を下すことができます。

メッセージや指標が明確であり、色によって意味が強調され、オーディエンスに最も関連性の高い情報が提供される、それこそが優れたダッシュボードです。そのような理想的なダッシュボードをどうすれば作成できるでしょうか。

それには、慎重な計画、情報に基づいたデザイン、ダッシュボードの改善に必要な批評眼、この 3 つが必要です。

1.ユーザーを知る

優れたダッシュボードは、対象ユーザー (オーディエンス) を考慮して作成されています。これは偶然にできるものではありません。誰のためにデザインしているのかを、自問自答してみてください。主なパフォーマンス指標を見るのに 15秒しかかけられない忙しい営業担当者でしょうか、それともダッシュボードの画面を何時間も眺めて、四半期業績を検証するチームでしょうか。

また、主題とデータに関する、対象ユーザーの専門知識のレベルを知ることも重要です。たとえば、経験や知識が豊富なユーザーと比べて、初心者にはフィルターやパラメーターに、よりアクション指向のラベリングが必要になるでしょう。対象ユーザーについての情報があまりない場合は、ユーザーの優先事項やデータの使用方法について問うことから始めれば、データを提示する上での最善の方法を知ることができます。ダッシュボードはいつでも作成し、追加することができます。最初はシンプルに始めるのが一番です。

2.ディプレイのサイズを考慮する

デスクトップモニター向けのダッシュボードを作成しても、ユーザーが主にスマートフォンでデータを使用するのであれば、あまり満足してもらうことはできないでしょう。事前に調査して対象ユーザーの習慣を把握すれば、ダッシュボードのデザインに役立ちます

最も重要な KPI を明らかにする: ユーザーは小さな画面でドリルダウンすることができない場合があるため、スマートフォンまたはタブレット向けに設計する場合は最も重要な指標のみが表示されるようにします。これは実際には、クリックしやすい要素と限られた意図的なインタラクティブ性を備えたダッシュボードを作成することを意味します。

スマートフォンの画面向けにコンテンツを縦方向に並べる: ほとんどの人は、ポートレート (縦) にしてスマートフォンを利用します。幅広の地図や時系列のデータを表示しない限りは、スマートフォンが縦に使用されることを想定してダッシュボードを最適化しましょう。Tableau では、新しいダッシュボードを作成すると自動的にスマートフォンレイアウトが生成され、スマートフォンに対応するようにダッシュボードのコンテンツがアルゴリズム的に配置されます。また、`自分でレイアウトを編集`オプションを選択することで、手動で項目を追加および配置し、変更内容を既定のダッシュボードに反映させることができます。異なるデバイスでのダッシュボードの表示については、デバイスのプレビューでデバイスレイアウトの確認と追加ができます。

3.読み込みを速くするよう考慮する

最も美しいダッシュボードでも、読み込みに時間がかかるようではインパクトを与えることはできません。読み込み時間が長くなる原因には、データ、ダッシュボード、またはその両方の場合があります。

作成者としての最も重要な決定は、最初のビューを作成する前のデータ準備ステージから始まります。可能な場合、特に本番環境では、オーバーヘッドを減らすためにデータベースで計算を実行します。集計計算は Tableau の計算フィールドに最適ですが、可能な場合はデータベースで行レベルの計算を実行します。

データソースでフィルターを作成するか、または抽出を作成することで、ダッシュボードで表示するデータ量を制限する必要があるかどうかを判断します。抽出は通常、ライブデータソースよりもはるかに高速であり、特にプロトタイプの作成に適しています。注意が必要なのは、抽出は常に長期的な解決策になるとは限らないことです。絶えず更新されるデータに対してクエリを実行する場合は、通常、ビューを操作する際にライブ接続のほうがより的確な結果を得ることが可能です。

最適化のヒントの詳細については、オンラインヘルプの「ワークブックのパフォーマンスの最適化 https://onlinehelp.tableau.com/current/pro/desktop/ja-jp/performance_tips.htm」を確認してください。「Tableau 操作の順序 https://onlinehelp.tableau.com/current/pro/desktop/ja-jp/order_of_operations.htm」を知っておくことも、読み込み時間の短縮化に役立ちます。

4.スイートスポットを活用する

対象ユーザーがどのようにダッシュボードを「読む」かについて常に考慮します。ダッシュボードには、適切な「フロー」と、さまざまな情報の断片の論理的なレイアウトが必要です。

ダッシュボードをデザインする際には、論理グループを形成する部分を考慮し、デザインによってそれらをグループ化します。網掛け、線、空白、色などのすべてが、関連性を示すのに役立ちます。

大抵のユーザーは、Web ページの左上のコンテンツから見始めます。ダッシュボードの主な目的を理解したら、最も重 要なビューがダッシュボードの左上に来るように配置しましょう。上記のダッシュボードの作成者は、ヘッダーとマップビューに主要なメッセージが含まれるようにしています。

5.ビューと色の数を制限する

ありがちなのが、張り切って関連するビューを何もかもダッシュボードに詰め込みたくなることです。しかし、たくさん追加しすぎると全体像が損なわれてしまいます。一般的には、ビューは 2 枚か 3 枚にとどめておきましょう。

スコープがそれ以上になる場合は、複数のダッシュボードを作成するか、ストーリーを使用します。ストーリーとは、情報を伝達するために連続した視覚化を組み合わせたものです。

ビューを作りすぎるのと同様、多くの色を使いすぎてしまうこともあるので注意しましょう。色を正しく使用すると、ユーザーも分析を効率よく行えるようになります。色を使いすぎるとユーザーの視覚的な負担が大きくなり、分析に時間がかかったり、分析が不可能になることもあります。

以下は、サブスクライバー数の変化を示すダッシュボードの改善前と改善後です。「改善前」のバージョンでは、強くて激しい色を使用しており、網掛けも一貫していないため、チャート間の関係が非常に見にくくなっています。

ダッシュボードをカスタマイズすることに夢中になりすぎて、ユーザーに素早く情報を与えるというダッシュボードの本来の目的を不要なオブジェクトによって妨げてしまわないようにしましょう。

6.インタラクティブ性を強化して発見を促す

ダッシュボードは、ビューを並列表示し、データを対比分析する機能を備えているかどうかで、機能性の優劣が決まります。フィルターは、分析の効率を高め、ユーザーを集中させることができます。たとえば、一番重要なビューを、ダッシュボード上の別のビューのフィルターとして機能させることが可能です。このためには、ビューのショートカットメニューから`フィルターとして使用`を選択します。

データのタイプに合わせて様々なフィルターカードを表示することもできます。たとえば、複数選択チェックボックス、択一式ラジオボタン、ドロップダウンリストといった形でフィルターを表示できます。検索ボックスを含めたり、フィルターのタイトルを編集してデータの操作法を明確に示すことも可能です。

活用できる強力な機能の 1 つに`ハイライトアクション`があります。これは、1 つのビューで選択すると、別のビューでその関連データがハイライトされる機能です。さらに高度なシナリオでは、`セットアクション`または`パラメーターアクション`を使用して、より深いレベルのインタラクティブ性を追加できます。

7.最大値から最小値までの書式設定

作成したもののルック & フィールを変更するには、「最大値から最小値まで」のワークフローを使用します。これによって作業が早まり、誤って変更を上書きすることを防ぐことができます。

書式設定の視点から見ると、ダッシュボードは以下のような階層で構成されています。
1. テーマ
2. ワークブック
3. ワークシート

まずは正しいテーマを使用しているかどうか確認しましょう (Tableau では最新の最も優れたバージョンが既定となっ ています)。書式設定 > ワークブックテーマ と進み、テーマを 1 つ選択します。

次のステップはワークブックレベルの書式設定です。そこではワークブック全体のフォント、タイトル、線を変更できます。

最後に、ワークシートレベルで書式設定します。たとえば、テキスト表内のすべての枠線を削除したい場合、またはビュー内の列を 1 列おきに網掛けしたい場合があります。このレベルでの書式設定の変更は、作業中のビューにのみ適用されるため、最後に実施するようにします。ダッシュボードの見栄えを手早く新しいものに変更する方法や、独自のフォントや色を使う方法については、オンラインヘルプの「ダッシュボードの再ブランド化 https://onlinehelp.tableau.com/current/pro/desktop/ja-jp/formatting_rebrand.htm」をご覧ください。

8.ストーリー内のストーリーである「ツールヒント」を活用する

主なデザイン作業が終わったら、ツールヒントを見てみましょう。ツールヒントを使うと、ストーリーをダッシュボード上で一層効果的に伝えることができます。また、ビューに便利なコンテキストを追加することもできます。Tableau はビューのツールヒントを自動的に作成しますが、ワークシート > ツールヒントをクリックすることで簡単にカスタマイズできます。

最も重要なビューをダッシュボードの左上に配置するのと同様に、ツールヒントでも最も重要な要素が一番上に表示されるようにしましょう。

たとえば、国際的な観光について、地域および国ごとに表示するビジュアライゼーションを見ているとしましょう。

`ツールヒント Viz `機能を使用して、煩雑な表示にすることなく、関連データでダッシュボードとストーリーを強化することもできます。ツールヒント Viz は、独自のデザインのビジュアライゼーションをツールヒント内に配置し、個々のマークにカーソルを合わせるか選択することでビジュアライゼーションが表示されるようにすることができます。Viz のデータは、カーソルを合わせるか選択したマークで自動的にフィルタリングされ、関連データを正確に表示します。ビジュアライゼーションは常に、ダッシュボードのコンテンツから注意をそらさせるものではなく、コンテンツを強化するものでなくてはなりません。迷う場合は、ダッシュボードの残りの部分をシンプルにしておいて、ツールヒントでさらにコンテキストが得られることをユーザーに知らせるようにします。

9.不要なものを除去する

ここで一度振り返り、自分のダッシュボードを見たことがない人の視点で見直してみましょう。どの要素にも、明確な用途がなければなりません。タイトル、凡例、軸のラベルに不要なものがあれば、削除することを検討しましょう。

ダッシュボードにもっと余白が必要な場合は、浮動レイアウトの使用を検討しましょう。その場合は、ダッシュボードを特定のサイズに固定し、ウィンドウのサイズが変わっても浮動のアイテムが定位置から動かないようにする必要があります。

ダッシュボードデザインの簡素化は、往々にして繰り返し作業です。そのため、常に既存のダッシュボードに戻って、新鮮な目で見る必要があります。作成した最新のダッシュボードに情報が詰め込まれ過ぎていないか、より明確にするために削除や配置変えできるものがないかを確認するところから始めましょう

10.ダッシュボードの使いやすさをテストする

ダッシュボードデザインの重要な要素には、ユーザーによるテストがあります。プロトタイプを作成したら、ダッシュボードをどのように使用しているか、また、差し迫った質問への答えを得るために役立っているかについて対象ユーザーに尋ねます。対象ユーザーは独自のバージョンのダッシュボードを作成しているでしょうか? また、特定のビューを詳細に確認し、他のビューは無視しているでしょうか? これらの情報を基に、既存のダッシュボードを調整したり、新しいダッシュボードを作成したりします。

プロジェクト成功の鍵は、テストにあります。ダッシュボードがどのように受け止められているか知ることができれば、今後のデザインに役立てることができるとともに、組織内でのデータ活用方法に影響を与えることができます。


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ダッシュボードデータドリブンベストプラクティス振り返り浮動レイアウト

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